大学の1年の頃は 石心寮という寮に暮らしていました。
1ヶ月の家賃が朝夕の食費込みで7800円。
この中身で想像がみなさんにはつくでしょう。
4畳半に男2人、2段ベットで暮らしていました。
テレビもない部屋です。
暇なので毎日、語らったり、ギターを弾いたりしていました。
この頃の経験があるから、やまちゃんはどこででも寝ます。
テレビの番組や流行りの何かに乗り遅れても平気です。
2年生のときは植田という場所でひとり暮らしを始めます。
なんか壁が薄くて… 「ああ〜ん、うう〜ん」とか…
横の部屋には大人びた女性が住んでいました。
毎晩、卑猥な声が聞こえてきて… 聞き耳をたてていました(すいません)
だってまだ、若かったんだもん。
そんな一人暮らしのある日に事件は起こります。
しかも新聞ざたになる事件です。
暑い夏の日、草野球が終わって部屋に帰ったやまちゃんは
喉が乾き冷蔵庫を除きます。
そこには実家からもってきたペットボトル「くだものだもの」がキンキンに冷えていました。
他に住人もいない部屋なので、それに直に口をつけてゴクゴクと飲みはじめました。
「なんだこの味は…」
くさったような、刺激物のような飲んだことのない味が、それからするんです。
青二才のやまちゃんは勝手に
「農薬を飲んでしまった」と判断します。
部屋から30m離れた薬局に走ったやまちゃんは
「農薬を飲んでしまったので、解毒剤をください」と店員に言います。
店員に「うちにはないから、ここから北に50mいけば病院があるから、そこで聞いて」といわれます。
真に受けたやまちゃんは、北に向かい、そこにあったのなんと歯医者…
「あのう農薬を飲んだんですが、解毒剤はありますか?」と
受付に恐る恐る聞いたら
「うちは歯医者だから、ここから東へ70mいったとこに病院があるから、そこで聞いて」
やまちゃんは、走りました。
自分の命のために…
次にあったのは整形外科…19才ながらにも予測しました。
たぶんおざなりにされるなぁ…と
「あのう農薬を飲んでしまったんですけど…」と言ったら反応は違いました
「すぐ胃洗浄しなきゃ…さぁ、こっちへ来て。水を飲んで。とにかく吐いて…」
迅速で優しい看護婦さんの対応。。。。。うれしかったなぁ。
げろげろ整形外科の、シンクで吐きまくり。これでもかって吐きました。
「もう大丈夫だと思うけど、念のために胃腸外科に行ってみて」
そんな親切な言葉をもらったら、誰だっていくでしょう。
紹介されたのは、忘れもしない 宮田胃腸外科。
「山下さん、どうされました?」
「はい、農薬を飲んだみたいで…」
あのときの看護婦さんの顔を忘れません。
どの患者さんもそっちのけで、宮田胃腸外科は厳戒態勢に入ります。
「そんな大変なことなんですか?」とやまちゃんが聞くと
「昨日、農薬で自殺をはかって死人が出たばかりなんだ」と医院長は言う。
「君のお父さんの会社、お母さんの会社、あと会っておきたい友達の電話番号を教えなさい。今すぐ連絡をとるから…」
こんなこと言われたら正気じゃいられません。死ぬかもっていわれてるみたいなもんですから…やまちゃんは、泣きながら言います。
「僕、死んじゃうんですか?」
「そんなことは、わからん。全力は尽くす」その医院長の台詞に、死が確信になりました。
いろいろな友達が、病院に押し掛けます。
バイト先の店長さんたちも、心配してかけつけます。
総勢は30名を超えていました。
そして菊川から両親もかけつけます。特におふくろは「隆宏が死んじゃう」と、取り乱しています。
胃洗浄をされました。これが痛くて、このせいで死ぬのではと感じるくらいでした。
新聞記者が部屋の外で待機しています。
警察の方がやってきました。
「病院から連絡があり、君の部屋を調べました。」
やまちゃんの知り合い30名は固唾を飲んで見守っています…
「山下君、君の飲んだ水は、イオン水と言って、身体に良いものだ」
部屋は一瞬静まりかえったかと思ったら
病院中を巻き込んで、爆笑の渦にかわりました。
そしたら、おふくろが
「あ〜そう言えば、あれは柴田さんにもらったイオン水だった!」
って、オイ。早く言えや〜。
この親にして、この子あり。
胃洗浄で胃があれてしまったため、1日入院することになりました。
入院費用は28000円。これはキツかったな〜。。。
次の日、喫茶店にバイトにいくと、店長が楽しそうに新聞をみせてきます。
その見出しは
「お騒がせ大学生!イオン水を農薬と勘違い」
まぁ、そんなこともありますよ。
やまちゃんには、こんなエピソードは序の口です。
まだまだ、レジェンドは続くのでお楽しみに!